day 31

この「トリスの落書き」は、DeadRunningのAシナリオ(街からの脱出)~Bシナリオ(船旅)の間の7日間を埋めるSSです。
物語の始まり~Aシナリオプレイ開始に至る「老医師の日誌」ともども、ゲームプレイのエッセンス程度にお楽しみいただければ幸いです。

・老医師の日誌(day 1 ~ day 7)
・トリスの落書き(day 29 ~ day 35)

 

 
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まだよる サムに お顔なめられて起きる。
ママがタオルで おはな ふいてくれる スッキリ。
汗たくさん ママ くろねこさんのタオル 捨てちゃった。
お熱さがった! あのひと けーなれい おどろく。
ママごきげん トリスにこにこ サムわんわん お昼に少しおさんぽ!

おどうぐ見て サムがワンワン! めずらしい?
ふたりて行っちゃう トリスはしれないよ。

帰ってきたの おでかけカバン 見せたげる。
きらきら おどうぐ パパとトリスのたからもの。

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「この狭い通路で何してんの?」
「何って…」
ビルことウィリアムは目の前を走り去っていくチャーリーに問いかける。遅れて犬が通りすぎる。

「チャーリーはたまに変なのにモテるよな。」
いつもの癖で鞄をかけ直そうとして、右肩と左脇の荷物を思い出す。整理した荷物を必要なところに届けるのが彼の今の仕事だった。
「まあ、今までの宅配業と変わらないけどね。」
独り言は、街中一人で届けて歩くウィリアムの癖である。

「これ、アリスさんからです。…ええ、配線のって言ってました。」
最後の荷物を渡し、一度船倉へ戻ろうか、カフェの整理を手伝うか思案しているとチャーリーがやってきた。
「おい、でかいの、何しに来た。」
「やあ、ビル。
 そこの通信室の整理と修理手伝ってくれって頼まれてね」
先ほどウィリアムが荷物を届けた部屋をスパナで示す。
「あの犬、よく吠えるよな…飼い主に似たのか。」
「なんだろうね、犬の嫌いな匂いでもしたのかな?」
ウィリアムはニカッと笑うチャーリーに何故か危機感を募らせる。

「犬はともかく、あの子とは仲良しになったよ。これのおかげで、」
腰に下げた道具袋を見せる。
「…お父さんの大切なものらしいけど、使い込まれたツールキット見せて貰っちゃった。
 うん、元気になってよかったよ。」

「ま、せいぜいその子と仲良しになってくれ。俺はカフェの手伝い頼まれてるから行くわ。」
歩き始めたウィリアムを見送って部屋に入りかけたチャーリーだったが、再び顔を出す。
「あ、おーい!
 ノームさんが下で待ってると言ってたぞ~」
「聞こえない、知らない。やらなきゃいけないことがあるんだよ!」

 

 

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